皆さんの会社はニッチ戦略を採っていますか?もしそうなら、インバウンドマーケティングは必ず重視する必要があると思います。
その理由とは実に明確です。
テレビコマーシャルや広告掲示板、新聞などを利用して大規模なアウトバウンドマーケティングを展開したとしても、ニッチな業界の場合リーチできるオーディエンスのうち99%はそのニッチな製品やサービスにまったく関心のない人たちです。
そのため、インバウンドマーケティングを利用すれば(むしろ利用しないと)、ニッチビジネスが質の高い潜在見込み客を獲得することは難しくなります。
逆に言えば、ネットで検索をされた時に見つけてもらうことによって、どのような場所からでも潜在見込み客を企業の方へ惹きつけることが可能になります。
実際、インバウンドマーケティングで劇的な成功を収めた企業が、ニッチであるケースは少なくありません。このことを皆さんに納得していただくために、今回の記事ではインバウンドマーケティングがニッチな企業に最適である理由について、6つの観点から説明したいと思います。
インバウンドマーケティングとは?
インバウンドマーケティングとは、ブログやeBookなどの見込み客にとって有益な情報を準備することによって、デジタル情報を自ら消費する見込み客をウェブ上に惹きつけ、見込み客化し、さらには顧客化していく流れを作る戦略的マーケティング手法です。
インバウンドマーケティングの基本には以下のようなプロセスがあります。
- コンテンツ作成:顧客の基本的な質問やニーズに応えているペルソナ向けのコンテンツを作成し、そのターゲット層に向けて情報を共有します。
- ライフサイクルマーケティング:理想の顧客像であるペルソナの各購買のステージに合わせて、最適な形のコンテンツを用意し、さらなる購買意欲を促します。
- パーソナリゼーション:時間の経過などによって変化する購買へのニーズに合わせてパーソナライズされた情報を発信します。
- マルチチャネル:ペルソナごとに異なる情報の消費行動に合わせてチャネルを選び、情報を適切な形で発信するように努めます。
このようなプロセスに従い、インバウンドマーケティングの手法を行うことによって、より質の高い見込み客を獲得することにつながります。
1:自社の専門性をアピールできる
ニッチな企業であれば、当然ながら何か非常に特別な専門性を有しているはずですので、誰かれかまわずアプローチするのではなく、関連の高い業種や役割の人たち、つまり問題解決のために自社の専門性を必要としている人たちにアプローチする方が効率的です。
人々は、とりわけニッチな情報を集めたい場合には、限られた手段しか選ぼうとしません。B2Bバイヤーの71%が、購入先の情報をインターネットから入手するそうです。したがって、自社の専門性をどこでアピールするべきかは、もうお分かりだと思います。
自社が専門とするニッチなトピックでコンテンツを作成し、その情報を探しているバイヤーに見つけてもらいましょう。またそのコンテンツを、潜在見込み客やカスタマーが使用するであろうキーワードに対して最適化することによって、自社の製品に興味のある数少ない人々に、検索結果のページで見つけてもらえる可能性はさらに高くなります。
導入事例: 地方の造園業者のウェブサイトが検索順位でトップに表示されるために採った施策
米国の地方造園業者であるDistinctive Landscaping社は、サービス提供エリアをニッチと捉えてマーケティングを展開しました。つまり、ターゲットカスタマーを定義する際、マサチューセッツ州のノース・アトルボロという地名をそこに追加したのです。
Distinctive Landscaping社の社長であるJason Scott氏は、潜在顧客が検索に使用するであろうキーワードを特定し、それと地名とを合わせてターゲットキーワードに選んで、ウェブサイトのコンテンツ作成を開始しました。
Distinctive Landscaping社はこれらの主要なキーワードにおいて、わずか1年で検索結果ページのトップ4を獲得し、ウェブサイトへのトラフィックを2倍に増やすことにも成功しました。Jason氏は、このエリアの造園業者、つまり競合する会社がいずれもブログを行っていないこと、そして、潜在見込み客やカスタマーがオンライン検索を利用して情報を集めていることを知り、そこに大きなチャンスを見出しました。
現在、Distinctive Landscaping社は検索エンジンで、すべての競合企業を抑えてトップに表示されています。Distinctive Landscaping社のサクセスストーリについて、詳しくはこちら(英語)をご覧ください。
2:ソーシャルメディアで特定のオーディエンスとつながりを持つことができる
検索エンジンだけではありません。Facebook、Twitter、LinkedInなどのソーシャルメディアや、特定の業界の人が集まるソーシャルネットワークを利用することでも、数少ないオーディエンスに自社を見つけてもらうことができます。また、ソーシャルのサイトでは、ターゲットオーディエンスと直接つながりを持つことができます。
オーディエンスが限定されればされるほど、ソーシャルネットワークでその業界にエンゲージしているコンタクトの識別は容易になります。このように、ソーシャルネットワークを利用すれば、企業のウェブサイト以外でも、また、実際に会いに行ったりセールスの電話をかけたりしなくても、潜在見込み客とエンゲージすることが可能なのです。
自社のニッチなオーディエンスに対し、どのソーシャルネットワークを利用するのが適切かを判断したい場合は、次の質問について考えてみてください。なお、これらの質問については、HubSpotによる日本語ブログ記事、「新しいソーシャルメディアを利用する理由と、利用すべきか決定するための8つの質問」に詳しく解説されています。
- 利用しているユーザーは誰か
- 口コミマーケティングが可能か
- トレンドになりやすいトピックは何か
- ネットワークで他の多くの人にコンテンツを見てもらえるか
- 斬新なソーシャルネットワークに合わせて、新しいタイプのコンテンツを作成できるか
- そのソーシャルネットワークを利用するために必要な時間やリソースはどのくらいか
- ROIの向上に期待が持てるか
Facebookを企業が活用する方法、Twitterを企業が活用する方法、Instagramを企業が活用する方法を解説した無料eBookもございますので是非ご覧ください。
3:場所や時間の制限なく潜在見込み客を惹きつけることができる
ローカルビジネスの場合を除けば、オフィスの半径15km圏内にエリアを限定して質の高い潜在見込み客の数を調べると、非常に少なくなる企業がほとんどだと思います、ですが、この範囲を県内、国内、そして世界中へと拡大すれば、質の高い潜在見込み客の数はどんどん増えていくでしょう。
インバウンドマーケティングでは、オンラインでのプレゼンスを簡単に構築し、潜在見込み客がどれほど離れた場所にいようと、自社に惹きつけることが可能です。しかも、インバウンドマーケティングの効果は長期間持続します。したがって、ある土曜日の昼下がりにマーケターがポーチで書いたブログ記事を、1年後の火曜日の朝に潜在見込み客がオフィスで読むといったことも珍しくありません。
4:ソートリーダーとして自社をアピールできる
ニッチな業界の専門的な知識を潜在見込み客にコンテンツで提供することによって、自社の専門性をアピールし、潜在見込み客からの信頼を得ることができます。ビジネスブログを利用すれば、自社についてまだ何も知らない人に対しても、その業界の専門性を示すことによって、長期的に関係を構築していくことが可能です。また、ブログが自社の豊富な知識を公開する専門の報道機関として機能するため、業界のエキスパートやソートリーダーとして認めてもらうのに役立ちます。
ブログで専門性をアピールすると、潜在見込み客だけでなく、ジャーナリストや他のブロガーにも見つけてもらえる可能性が高くなります。そうすれば、その人たちのブログで自社を紹介してもらったり、リンクを張ってもらったりすることも期待できます。
私たちHubSpotも、ブログを作成してソーシャルメディアでプロモーションすることにより、数年間で多くのPRのチャンスを得ることができましたが、これは、ブログによってHubSpotがソートリーダーとしての地位を確立しただけでなく、私たちの作成するコンテンツが、パブリッシャーによる記事内で補足情報として紹介するのに適していたからだと思います。
成功するブログ記事の書き方についての調査レポートはこちらから無料ダウンロードできます。
導入事例:Palomar Technologiesがブログを利用してトラフィックの増加と認知度の向上に成功
Palomar Technologiesは先進のマイクロエレクトロニック、およびオプトエレクトロニックのパッケージング システム サプライヤーです。したがって、1つではなく2つのニッチなトピックで、主にブログを作成しています。同社はウェブサイトのボリューム(ページ数)を増やすこと、検索エンジンで見つけてもらえる可能性を高めること、そしてこれらの特殊なトピックで信頼性を確立することを目的にブログを開始しました。
「私たちのビジネスはニッチであり、世界でも同じ仕事をしている企業はあまり多くありません。そのため、マイクロエレクトロニック、およびオプトエレクトロニックのパッケージングの最新技術について情報を得たい人の多くが、私たちのサイトを訪問します」とPalomarのマーケティング コミュニケーション スペシャリスト、Rich Hueners氏は言います。
ブログの開始からわずか4か月後、ウェブサイトへのGoogle検索によるトラフィックの量は、一か月あたりで実に20倍近くまで跳ね上がり、SEOにおいて非常に重要なインバウンドリンクの数も1,000を超えました。Palomar Technologies社のサクセスストーリーについて詳しくは、こちら(英語)をご覧ください。
5)質の高いコンバージョンを獲得できる
インバウンドマーケティングを本当に成功させるためには、質の高い訪問者をサイトに引き寄せるだけでなく、それらの訪問者が誰なのかを知ること、そして、訪問者の質を評価したり、フォローアップしたりできるようにすることが必要です。インバウンドマーケティングの重要な要素の1つが、潜在顧客にとって価値の高いオファーを、ターゲットを定めて作成することであるのはそのためです。
そのようなオファーをウェブサイトのランディングページでプロモーションできれば、訪問者に個人情報をフォームに入力してもらうことができ、質の高いリードを獲得して、それを効果的にフォローアップすることが可能になるでしょう。
見込み客獲得のコツ30個をまとめた無料eBookはこちらからダウンロードできます。
導入事例:TotalMobile社がターゲットの定まったランディングページをカスタマーごとに作成
TotalMobile社は地方自治体、政府機関、住宅協会の職員の業務フローを管理して生産性を高めたり、運営費を節約したりするためのモバイルソリューションを提供しています。同社はニッチ市場にいることだけでなく、ターゲットのペルソナがバラエティに富んことに対しても、非常に上手に対策を講じました。
以前は、ブランドの認知度を高める目的でウェブサイトを作成し、ページを更新することはほとんどありませんでしたが、ランディングページを作成してリードナーチャリング(育成)をセットアップし、潜在見込み客の行動についてモニタリングを行ったことで、ウェブサイトをリード ジェネレーション ツールへと進化させることに成功したのです。
同社は、アプリケーション製品ごとにランディングページを作成し、それぞれを上手にターゲティングすることで、適切な潜在見込み客に適切な方法でリーチできるようにしました。また、獲得したリードの質を正しく評価することも可能になりました。TotalMobile社のマーケティングディレクターであるSunniya Saleemは、BostInnovationとのインタビューの中で、マーケターに向けて次のようにアドバイスを送りました。
「ウェブサイトのどこかにスペースを確保して、効果的なランディングページをセットアップすることが重要です。つまり、ウェブサイトでリードを獲得したいなら、リード獲得のチャンスを得るための専用スペースを、ウェブサイトに用意する必要があります。」TotalMobile社のサクセスストーリーについて詳しくは、こちら(英語)をご覧ください。
6)結果をどのようにでも分析できる
ニッチ企業の予算は多くの場合(ニッチ企業に限らないと思いますが)、かなり制限されています。幸い、インバウンドマーケティングには結果の分析がしやすいという利点もあります。
訪問者の流入元や、ダウンロードしたコンテンツ、あるいはどのマーケティングキャンペーンが顧客の獲得に大きく貢献しているかなどを分析することにより、インバウンドマーケティングの施策について、どれが上手く機能し、どれが機能していないかを理解することができます。そして、マーケティングにおける判断をより的確に下すことや、どの施策に時間や費用を投資すれば、より高い効果が得られるかを理解することが可能になります。
ニッチ企業の方へ、インバウンドマーケティングを利用したことはありますか? どのような効果が得られましたか?
編集メモ:この記事は、2012年6月に投稿した内容に加筆・訂正したものです。Ellie Mirmanによる元の記事はこちらからご覧いただけます。
画像クレジット:jonespointfilm
from HubSpot Marketing Blog https://blog.hubspot.com/marketing/why-inbound-marketing-is-perfect-for-your-niche-business
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